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私はスタッフを褒めるときは全員を褒めますし、注意するときは全員に向かって注意するようにしています。
スタッフ同士が喧嘩をした場合は理由の如何を問わず喧嘩両成敗です。そういう方針を徹底していることもあってチームワークが保たれているのではないかと思います。
先日こんなことがありました。手が空いたときにスタッフの私語が目立つようになったのです。
患者さんはさりげなく聞いています。「なんだろう、この歯医者は仕事中に」と思う方もいるかもしれません。
で、注意したほうがいいなと思ったわけです。でも、怒ってはダメです。
人は、怒っても動きません。どういう言い方をすれば傷つかずに悟ってくれるだろう?注意するタイミングはどうしよう?そういうことをさんざん考えたのです。

たまたま、あるとき4人のスタッフが私語で盛り上がっていました。そこで「いまがチャンスだ」と思い、指を口に当てて「シー」と。
注意はただそれだけ。それでみんな悟ってくれ、それ以降、私語はなくなりました。
こんなふうにスタッフに対して私が注意するのは年に、2回ぐらいのものです。だからこそ、逆に効き目があるのだと思います。
チームワークを保つもう1つの秘訣はスタッフを信頼してある程度の仕事を任せることです。たとえば歯科衛生士さんに、重症の歯周病患者さんのブラッシング指導を任せる。
患者さん一人を任せるというのは大変なことです。それだけの責任も負うわけですから。
でも、だからこそ真剣に取り組んでくれます。結局、チーム医療を機能させるために大事なのはスタッフを信用するということ。
私はスタッフを従業員とは言いません。従う員ではなく、ともに同じ目的を持った仲間です。
昨年のゴールデンウィークのことでした。そのスタッフから「父親が末期のがんで余命2週間なのです」と打ち明けられました。
ところが、末期がんで余命いくばくもないということは、すでにその前年の8月に主治医から告げられていたらしいのです。彼女はそのことを私たちにはずっと黙っていたわけです。
父親がそんな状態ですから、普通なら真っ暗闇です。それなのに、仕事中も取り乱したり考えこんだりする素振りは一切見せませんでした。

しかも、9月のロサンゼルスへの海外ツアーにも一緒に行って、みんなと楽しそうに笑っていたのです。急に参加をやめたりしたら、お父さんの病気のことがわかってしまうと考えたのでしょう。
もう父親が手遅れだという事実をひとり胸に秘めて、私たちに心配させまいとして笑顔をたやさずに約9ヵ月も隠しとおしてきたのです。余命2週間という事態に立ち至って、もはやここまでということでようやく「休ませてください」と言ってきた。
もちろん、2週間といっても実際はもっと長生きする可能性もあったわけです。

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